透明ケース(PET素材,PP素材)作成時の注意点まとめ
埼玉県の地域密着型パッケージ屋さん、(株)藤田です。今回は透明ケースを製造する際の注意点をまとめました。透明ケースに使用されるPET,PP素材は一般にはあまり知られていない特性があります。こちらご確認いただきますと、納品後にこんなはずじゃなかった!となることを防げますので是非ご一読ください。
※PET=ポリエチレンテレフタラート。身近では飲料のペットボトルとして非常に有名なプラスチックです。※PP=ポリプロピレン。身近ではクリアファイルなどの日用品に使用されています。
①PETの場合~霜降りキズに注意~
↑霜降りキズの発生したPET製品 | ↑キズなしのPET製品 |
霜降りキズとは?振動が加わることでPET同士がこすれて発生する小傷のことをいいます。画像の通り、霜降り肉脂身部分のように白く傷が入ることからこのように呼ばれています。すべすべで摩擦なんて無いように見えるPETシートですが、実は擦れ合うとキズになる程度にはザラザラしています。これは、シートの表面にAB剤(アンチブロッキング剤)と呼ばれる鉱物が練りこまれているためです。
PETシートは積み重ねると、お互いにぴったりと密着してしまい機械に流す際1枚1枚持っていくことができなくなってしまいます(この互いにくっついてしまった状態をブロッキングといいます)このブロッキングを防ぐ為、AB剤により表面をザラザラにしてシート同士がくっつくのを防いでいるのです。
(原因は2つ)①輸送時のこすれ ②納入後保管時
①輸送時の揺れによる霜降りキズ 段ボールに入れてトラックで運送しますが、積み込み~走行中~荷下ろし時の揺れでキズが付くことがあります。これをできる限り防ぐために、帯掛けをしたり、なるべくジャストサイズのカートンで梱包する工夫が考えられます。
②納入後の保管による霜降りキズ 納入後、製造したPETケースをすぐに使用できればよいのですが、長期間保管する場合注意が必要です。
通常、地震が発生していなくても、私たちが生活している建物は常にわずかに揺れています。風や交通機関や工場の機械などによって生じている振動で、人が感じないくらい微小な揺れになります。(あれっ?地震!?と慌てたら大型トラックが通過した揺れだったり、ありますよね)このわずかな揺れでも毎日積み重なると、微小な細かいキズが広範囲に発生してしまい、(霜降りキズ)使用できない状態になってしまいます。
大量生産で単価を抑えても、消費しきれず使用不可の状態になってしまってはもったいないです。工場でも、お客様にお渡しする用のA4サンプルシートをストックしておりますが、段ボールを開封しなくても、置いておくだけでキズになって使い物にならなくなるため、3か月ほどで消費できる量のみストックする決まりになっています。それほど、PETの霜降りキズは避けられない宿命なのです。
消費ペースを考えて、少なくとも半年ほどを目安に使い切れるよう、適切な数量を計画的にご注文ください。
②PPの場合~黄変に注意~
PPケースをご購入いただいたお客様より「段ボールに入れたままなのに、PPケースが黄色く変色してしまった!」と連絡をいただくことがあります。画像の左は暗所で1年以上経過し黄変したPPケース。画像右は製造したばかりの透明で綺麗なPPケースです。
残念ながら、PP材質の黄変も避けられない宿命となります。練りこんだ様々な可塑剤などが経時によって表面に浮き出てきて(=ブリーディング)インクや接着剤の密着度が落ちてきますので、加工に関してはシートメーカーからは3か月以内の実施が推奨されており、黄変に関しては6か月ほどで黄変の可能性があると言われています。それくらいPPは短命です。
PETシートの場合は可塑剤などがほぼ含まれていませんのでPPほどのブリーディング現象もなくPPシートよりは黄変までの時間も長いです。しかし、プラスチックの宿命で黄変自体は避けられません。ご自宅のエアコンなどの白色家電や、古い車のヘッドライトが黄ばんでしまうのと同じ理屈です。
以上、基本的に透明ケースは長期保管に向きません。PP→3か月、PET→6か月を目安に納品後は速やかにご使用ください。大切なご予算を無駄にしないためにも、計画的ご注文をお願いいたします。お見積もりは下記よりご依頼ください。